RSS|archives|admin

スポンサーサイト

--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


Category:スポンサー広告 | Comment(-) | Trackback(-) | top↑ |

空想未来

2016.02.20 Sat

久々な創作。
ちょっと気持ち悪い短編です。
こんな未来が来たらどうなるんだろう・・・?みたいな空想。

以下よりどうぞ






20XX年――――
遥か未来の話である。
あるとき果物たちは気づいた。
自分の言葉で要望を伝えれば、より美味しくなるのではないか、と。
美味しくなれば人間たちはもっと懇ろに世話をしてくれるだろう。そしてその数も増やすだろう。そう考えたのだ。
そしてそれを早々に実行して見せたのが蜜柑である。
蜜柑は長い年月をかけてその枝や維管束やら葉脈やらをすべて果肉で包み込み、表皮をうすく、しろくなめらかな、まるで人の肌のようなものへと進化させた。そうして一等美しい女の姿になった。維管束やら葉脈やらは人で言う血管となり、枝は骨、果肉は肉、果汁は血となった。
もちろん果物であるから、血や肉は橙色である。
人間たちはこの異変に気づくと、大変驚いた。姿形もそうだが、蜜柑はどういうわけか口も聞けるようになったのであった。
そもそも蜜柑に思考があるのか?と人間たちは思ったが、美しい女の形をしているため無下に扱うことはできなかった。
蜜柑の言う通りのことをしてやった。すると蜜柑はいっそう美しくなる。人間たちはこれが蜜柑かどうかなんてどうでもよくなってしまった。
美しい女が、より美しくなる。しかも蜜柑は本物の人間の女のように難しいことを頼むわけではない。
もう少し肥料を増やせだの減らせだの、水をもう少しくれだのと、そんなことしか言わない。人間たちは蜜柑の思惑どおり、すっかり蜜柑の虜となってしまった。しかし、蜜柑に、

「もう食べ頃ですよ。」

と、そんなことを美しい声で言われたときはさすがに困惑した。
食べ頃とはいえ人の形をしている。人食趣味なぞ普通の人間は持ち得ていない。
それは狂人のすることである。そういう意識があることを、蜜柑は知るよしもなかった。計算違いである。蜜柑は困った。もう力ずくでこの身を食わせるしかないと思った。
あるとき蜜柑は、一人の男にしなだれかかり、甘えた声で、

「わたしを食べてください。」

と言った。男はそれが本当の意味での「食う」ということであるとは気づかずに、首を縦に振ってしまった。
「さあ、ここから、思いきり食べてくださいな。」
頭をもたげ首筋をさらす蜜柑に、男は口づけた。そして歯を突き立て甘噛みした。
すると、その肌は男の犬歯でいとも簡単につぷりと刺し貫かれてしまった。男は大変驚いたが、歯を伝ってわずかに流れてくる血もとい果汁のうまさにくらくらとした。その様子を見逃さなかった蜜柑は、

「さあ、思い切り、食いちぎって下さいませ。」

と囁いた。男の理性は吹っ飛んでしまった。
男は蜜柑の肉を食い破った。甘い汁が溢れ出て、男の口の周りを汚した。
肉はかつての蜜柑よりもつぶつぶとした食感がはっきりとしていて、食っているという感覚をより味わえるようになっていた。
味はより甘く、さわやかになった。人一人分の大きさの果肉を食べても飽きが来ないようになっている。
男は夢中で蜜柑を食べた。蜜柑はしたり顔で男を見ている。
こうして蜜柑人気は男たちの間で高まっていった。これを見たほかの果物たちも、独自の形を作り始めた。
あるものは男になったり、子供になったり、それぞれに支持層を作っていった。
あらゆる果物が進化しつくしたのち、今度は野菜などが擬人化をはじめ、数十年後の20XX年の日本人の健康水準は、世界最高になったのである!



スポンサーサイト
Category:創作 | Comment(0) | Trackback(-) | top↑ |
<<あれえ | HOME | P3M#4感想>>
name
title
mail
url

[     ]

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。