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小話

2014.10.19 Sun

お久しぶりです
随分前に書いたはなしがあったなあと思い出したのでこちらにあげておきます\(^o^)/

以下よりどうぞ









ある日のことです。
きつねのこは、いつものようにまっくらな世界に行きました。人の気配がしたのです。
きつねのこは、今度はどんな人が来たのだろうと、胸を躍らせながら鳥居に向かいました。
赤い池の上に空く黒い穴。とん、と飛び上がると、きつねのこは軽々とその穴の中に吸い込まれるようにして入って行きました。
穴を抜けると、そこにはいつもと同じ赤い大きな鳥居がそびえ立っています。鳥居は青く輝く池のようなものの上に立っており、その周りを囲うようにして石が並べてあります。大きさがまばらなせいか、池の水が溢れて暗闇の中を零れていきます。この水がどこへおちていっているのか、きつねのこにはわかりませんでした。

そんなことはさておき、きつねのこはまたいつものように人の気配がある方向に向けて歩き出しました。しばらく歩くと、一人の男の子が闇の中、うずくまって泣いています。きつねのこと、同じくらいの年でしょうか。きつねのこは男の子に声をかけてあげました。

「ねえ、だいじょうぶ?」

男の子は、突然聞こえた声に驚いたのか、肩を僅かに揺らしました。すると、すこし戸惑いながらも顔を上げてくれました。
きつねのこはまた話しかけました。

「君、迷子さん?」

こくりと男の子が頷きました。

「僕、気がついたらここにいて・・・お母さんとはぐれちゃって・・・」

お母さん、という言葉を発した男の子は、母親が恋しくなったのか、段々と涙声になりながらも話してくれました。母親と散歩をしていたこと、近所の神社にいったこと、いたずらごころで勝手に母親の元から離れてしまったこと。
男の子が全てを話し終える頃には、また男の子の顔が涙でぐしゃぐしゃになってしまいました。

きつねのこは気の毒に思いました。
きつねのこにはお母さんがいません。そのために男の子の気持ちはわからないところもありますが、大事な人と離れ離れになって心細いのだということはよくわかりました。

きつねのこは、男の子を早く帰してあげなきゃ、と思いました。
と、そのとききつねのこはあることを思いつきました。

(僕が住んでいる世界を見せてあげたら、この子はびっくりするかな?ううん、きっと驚くに違いない!だって、今まで来た人に僕の住んでいるところについて話したら驚いていたもの。見せてあげたらもっとおどろくはず!)

きつねのこは、男の子の手を取っていいました。

「そんなに泣かないで!きっと僕が出口まで連れて行ってあげるよ。その前に、君に見せたいところがあるんだ!きっと驚くよ。ね、だから泣かないで?」

きつねのこは、涙を見るのが苦手でした。
この男の子にも、早く泣き止んでほしい。そんな一心でした。

男の子の手を引きながら、きつねのこはもと来た暗闇を迷いなく進みます。
後ろには男の子の気配。不安そうな目をしています。きつねのこは先を急ぎました。

すこし歩くと、あの鳥居が見えてきました。
きつねのこは男の子に話しかけました。

「綺麗でしょ?この池のしたはもっとすごいんだよ!ここを見せたかったのだけど、見てみる?」

男の子は頷きました。
心なしかその目は輝いています。
その目を見て、きつねのこはほっとしました。そのまま男の子の手を引きながら池へ向かいました。

男の子の足が池に入りました。
きつねのこは、そのことを確認するとその池の下へ、青い世界へ帰ろうとしました。

はじめにきつねのこが池を抜け、男の子が池を抜けました。そのしたに広がるのは、青の世界の中では異な存在である、美しい赤い池です。

男の子は驚いているだろうか、と、きつねのこが振り返ったときです。

ほろほろと、きつねのこが掴んでいる男の子の手が崩れていきます。青の世界の空気にとけるように、ほろほろ、ほろほろと崩れていきます。
それは手からやがて腕、胴、足へと広がり、どうする間も無くやがて顔が崩れ、完全にいなくなってしまいました。

きつねのこはただただ驚きました。こんなことは初めてだったからです。でも、ここからいなくなったということは、恐らく元の場所へ帰ったのだろう、男の子にもっとこの世界を見て欲しかったと、安堵半分、悔しさ半分できつねのこは家へ帰っていきました。

翌日。
きつねのこはふと思いたって町の方へ出ました。
すると、なんだか町が騒がしいようです。見ると、人の輪ができています。
どうしたのかな?と、きつねのこは不思議な気持ちでそこに近づきました。
すると、その輪の中心に、1人のあやかしが立っていました。白く透き通る肌に、青い髪。
どうやらあたらしくやってきたあやかしのようです。
そのあやかしは、男の子らしく、きつねのことそう大差ないほどの年に見えます。きつねのこは挨拶に行きました。

「こんにちは、はじめまして」

あやかしがこちらを見ました。
その顔をはっきりと確認した途端、きつねのこは妙な感覚を覚えました。

(あれ?なんだかこの子、どこかでみたような・・・?)

このあやかしの顔を、どこかで見た気がする、と、きつねのこは思いました。
そこできつねのこは思い切ってあやかしに聞いてみました。

「ねえ、君は、どこかで僕と会ったことがある?」

あやかしは不思議そうな顔をして、

「ううん。」

と答えました。
それもそうか、ときつねのこは思いました。
だって、あたらしくやってきたあやかしは、きつねのこにとっては必ず初対面のあやかしだったからです。きつねのこはどこか夢でみたのかもしれない、ということにして、あやかしに、

「よろしくね!」

と言いました。
あやかしも、その言葉に笑顔でうん、と頷きかえしてくれました。

きつねのこは、他のあやかしも、きっとこのあやかしに挨拶をしたいだろう、と思い、この日のうちは家に帰ることにしました。

家に帰る途中に、昨日会った男の子は、無事お母さんに会えただろうか、と、ふと、きつねのこは思ったのでした。



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